ここ宍道の丘にも美しく花が咲き、暖かい春の風にのって小鳥のさえずりも聞こえる本格的な春がやってきました。

今日の佳き日に、島根県高等学校定時制・通信制教育振興会会長 成相安信様をはじめ、ご来賓の皆さまにご臨席賜り、入学式を挙行できますことは、私たち教職員にとって、誠に大きな喜びでございます。ご多用のなか、ご臨席を賜りましたご来賓の皆さまには、高段からではございますが、厚く御礼申しあげます。

さて、先ほど入学を許可いたしました、通信制課程84名、定時制課程101名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。教職員一同、心より歓迎いたします。学習履歴や本校への入学動機、年齢、そして定時制課程、通信制課程という学ぶ課程が異なっていても、同じ学校で学ぶ仲間です。それぞれの個性、多様性を尊重し、充実した学校生活を送ってほしいと願っています。

本校では単位制を採用し、自分で授業を選ぶ仕組みとなっていることは他の全日制の高校と大きく異なるところです。自分の興味・関心、卒業後の進路などのことを考えて、自分が受ける授業を毎年の受講登録で「自分で決める」ことから始めていきます。学校生活以外の時間も自分の裁量で決めることができます。およそ100名の教職員は、専門性を生かしながら、皆さんの学習や生活を指導・支援します。また、地域の皆さまにも、温かく見守っていただいており、地域と連携した様々な活動、例えば探究活動や地域ボランティア活動などに多大なるご支援とご協力をいただいています。自分の意識や意欲次第で、学びの幅と質は、広がり深まっていきます。単位制の学習形態と学習時間が選択できるという強みを十分に活かして、自分にしかできないチャレンジをしていってください。

新たな生活を始めるにあたり、高校生になったという期待、あるいは緊張も感じていると思います。一方で、学習や進路への不安、人間関係に不安を感じている人もいるかもしれません。これから出会う様々な人、例えばクラスメイト、同じ授業や部活動の仲間、教職員、地域の方と自分のペースでつながっていってください。そうすることで相手の良さや自分の良さにも気付けるはずです。私たち教職員も、一丸となって皆さんの学校生活を支援していきます。

宍道高校の一員として、これから常に意識しておいてほしいことをお話しします。それは、“自分のことも周りの人のことも大切にしてほしい”ということです。皆さんは今、自分とどのような約束をしているでしょう。自分との約束とは、目標達成に向けた自分との取り決めのことです。私たちは、他人と約束をしたら守ろうと努力します。 “他人との約束”と同じように“自分との約束”を守っていく努力をしてほしいと思います。「自分との約束を破ってしまっても、人に迷惑をかけているわけではない」と思う人もいるかもしれません。しかし、自分との約束を守る努力を重ねると、自己信頼、つまり自信がもてるようになります。自分のことを大切に思えるようになります。同時に、努力を重ねる姿は、身近な仲間の頑張りを後押しすることにつながっていきます。一人では乗り越えられないことでも、「自分はひとりではない。頑張ろう」と思える仲間がいることで乗り越えられることがたくさんあります。思いやりの気持ちをもち、仲間への気遣いができる人になってほしいと願います。皆さんが「自分との約束を守った」という充実感を、私たち教職員もともに味わっていきたいと思います。うまくいかないことや失敗することもありますが、宍道高校では、自分らしい生き方をデザインするために努力している仲間がたくさんいますから、失敗を恐れることはありません。校歌の歌詞にもあるように、ともに集い、学び、磨きあっていきましょう。

最後になりましたが、保護者・ご家族の皆様にご挨拶申しあげます。お子様、ご家族のご入学、誠におめでとうございます。心よりお慶び申しあげます。本校での生活に一日も早く慣れ、様々な活動に主体性をもって取り組んでいかれるよう、ご家庭での励ましやご支援をお願いします。私たち教職員は、生徒一人ひとりの、新たなステージでの学びを 全力で支えて参ります。本校教育へのご理解とご協力をお願い申しあげ、式辞といたします。

 

    令和7年4月20日

島根県立宍道高等学校長 小西久美子