虫の音も美しく響き、宍道湖を渡る風にも秋の気配を感じる季節となりました。この秋の良き日、保護者、ご家族の皆さまのご列席のもと、令和5年度島根県立宍道高等学校通信制課程後期入学式を挙行できますことは、大きな喜びであり、教職員を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。

ただ今入学を許可しました通信制課程42名の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんの入学を教職員並びに在校生一同心から祝福し歓迎いたします。

これから皆さんが学びを深めていく通信制課程は、週3回開講されるスクーリングへの参加と、自宅での「自学自習」によるレポート作成・提出が高校生活の基本となります。スクーリングへの参加、レポート作成・提出と言葉で言うのは簡単ですが、この学びを継続し、単位を積み重ね、卒業にたどり着くには、計画性・粘り強さはもちろんのこと、かならず卒業するという強い意志が求められます。

通信制のモットーは「あせらず やすまず あきらめず」です。他の人と比べるのではなく自分の決めた目標に向かい、昨日より今日、今日より明日と一歩一歩、着実にその歩みを進めていかれるよう願っています。

さて、2011年3月11日、東日本大震災が発生し多くの尊い命が奪われました。震災後テレビでは『こころ』はだれにも見えないけれど『こころづかい』は見える。『思い』は見えないけれど『思いやり』はだれにでも見える。というコマーシャルが繰り返し流されました。皆さんの中にも覚えている人もいると思います。

この詩は詩人・宮本章二さんが作った「行為の意味」をもとにつくられました。この詩はこんな風に結ばれています。

あたたかい心があたたかい行為になり
やさしい思いが やさしい行為になるとき
『心』も『思い』も初めて美しく生きる
それは人が人として生きることだ と。

今日皆さんが宍道高校通信制課程入学という、新たなステージに立つことができたのも、皆さんの努力はもちろんですが、家族や友人、先生方など周りの多くの方々の、「あたたかい行為」「やさしい行為」の支えががあったからこそだと考えます。この支えに対して今度は皆さんが応える番です。自分を大切にし、これから出会う新たな仲間を大切にし、勉強に励み、学んだことを人のために生かすことができる資質・能力を持った人間に成長してください。今日の、今の気持ちを忘れることなく、日々感謝の気持ちを持ちながら、学校生活を送ってください。

最後になりましたが保護者、ご家族の皆様、ご入学誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。教職員一同、情熱と愛情をもち、全力で教育活動に取り組んで参りますが、申し上げましたとおり卒業までの道のりは決してたやすいものではなく、学校だけの力で到達できるものではありません。どうかこれからも生徒の皆さんを見守り、しっかりと支えていただきますようお願いいたします。

今日入学した皆さんの生活が、どうか充実した日々でありますように、より多くの喜び、楽しみ、感動を味わえることができるよう心から願い、式辞といたします。

令和5年9月24日

島根県立宍道高等学校長  石原 学