本格的な春の訪れとともに、この宍道の丘にも花や緑があふれ春らしさが一段と増してきました。
この春爛漫の良き日に、島根県立宍道高等学校入学式を挙行できますことは、入学生はもちろん、私たち教職員にとってもこの上ない喜びです。
本日は、島根県高等学校定時制・通信制教育振興会会長 成相安信様をはじめ、ご来賓の皆さまにはご多用中にも関わりませずご臨席を賜り、本校入学生の出発を祝福していただきますことに心より御礼申し上げます。
また、ご家族の皆さま、本日は御列席いただき誠にありがとうございます。本校に入学され、将来に向けて確かな一歩を踏み出されることを、心よりお祝い申し上げます。今後は本校での生活に一日も早く慣れ、それぞれの目標に向けて落ち着いた取り組みができますよう、ご家庭でもしっかり支えていただければ幸いです。

さて、ただ今入学を許可しました通信制課程175名、定時制課程125名の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんは将来に向け新たな一歩を切り開くため、宍道高校に晴れて入学を果たしました。
本校は百名を超える教職員・スタッフが生徒一人一人としっかりと向き合い、個別最適な支援や指導を行います。また、机上での学習だけでなく、地域の皆様に多大なご協力をいただきながら、地域を舞台とした活動も盛んに行っています。
どうか今日感じている意気込みを忘れず、清新な気持ちで高校生活をスタートさせてください。

通信制課程のみなさん、通信制のモットーは「あせらず やすまず あきらめず」です。スクーリングへの出席と、レポート作成に粘り強く取り組み、一つ一つ積み上げていってほしいと思います。
定時制課程の皆さん、皆さんは自分で午前部・午後部・夜間部を選択されました。この学習時間選択制という特徴を生かし、授業を大切すると同時に、授業以外の時間にも、様々な経験を積んでいってほしいと思っています。

さて、入学に当たり一つだけお願いしておきたいと思います。
今皆さんは人生で最も可能性に満ちた時間を過ごしているはずです。その一方で未来や将来の自分に不安もあることでしょう。皆さんは一度しかない人生をどのように生きていきたいと思っているでしょうか。目標や将来像をはっきりと語れる人がどれほどいるでしょうか。おそらくほとんどの皆さんにとって、未来とはとてもぼんやりと、頼りない存在にしか見えないのではないでしょうか。私はそれでよいのだと思います。未来は、これまでに身の回りで得た体験や情報から明確に想像できるほど、単純でもちっぽけなものでもないのです。よく自分の将来について周りから「何になりたいのか」と聞かれることもあるでしょう。でも今日私が皆さんに問いかけたいのは「何になるか」ではなく、「どう生きるか」ということです。与えられた人生を「どう生きるか」について考えてみてください。それが自分の人生の「軸」をつくることになります。「何になるか」はその過程にあるもので、夢や目標はその延長線上にあるものだと思います。

入学した皆さんもいずれは社会の一隅を照らすようになり、地域社会や日本を支えていく人となります。その日のためにも「どう生きるか」という軸を据え、勉学に励み、学んだことを人のために活かすことができる資質・能力を高校での様々な活動を通し、獲得して欲しいと思います。

今日入学した皆さんの生活が、どうか充実した日々でありますように、より多くの喜び、楽しみ、感動を味わえることができるよう心から願い、式辞といたします。

  令和6年4月14日

島根県立宍道高等学校長  石原 学